プロジェクトの進め方=東京大教授・坂村健


五百旗頭大学校長が毎日で連載を持たれている。
彼の苦労は計り知れないなぁと思いつつ、今回は坂村健教授の『欧州「カメ型」の長所発見』に惹かれた。
以前の業界におけるEUのプロジェクト進行形態も、これと似ているように思える。

こちらから見るとあまりに初歩的な議論をしていても、次に行くと参加者のレベルがちゃんと上がっている。それを続けていて、ふと気がつくと着実に議論は深まっている。公開シンポジウムなどで、「ネットワークアドレスと固有IDの違い」といった高度な質問が会場から出たが、隣の席の文系官僚が回答した。しかも意味論的な問題まで含めた理解の上で、きちんと答えたのには驚いた。

正直羨ましいなと思うけれど、国内でも以前出たシンポなどがこの例に近いように思われ、期待しているところである。

 ある意味、日本以上の「お役所仕事」である。しかし、とにかく全体図を整理するのがうまい。日本ではいまだに「ユビキタス」という言葉は知っていても、それがどういうものかについてはあいまいなイメージだけで議論している人が、官僚や経済人、さらには技術専門家にすらいる、と感じることが多い。会議でずっと前に説明したのに「振り出しに戻る」で徒労感に襲われることもしばしば。しかし、EUの報告書なら、きちんと読めばまず大丈夫。

基本的な言葉と概念すら曖昧な人が闊歩しているように見受けられるのは、Webだけの話しじゃないのだなぁ。

内田樹の研究室を読んでいると、本場で追従運転が可能なのに対し、技量的には劣っておらずとも、流れをつぐ国でそれが出来ないのは何故かと考えさせられる。理系学生ですらも、そういった運転が出来ないものと思い込む人が多いのには驚いた。
また、石炭を採り上げた時、枯れた技術が…と寄越してくれる人も多かった。
中国の原電を信用していない人も多かったが、ならば微粉炭を日本程度に高めたり、IGCCを進めさせれば良いのではと思うことしきりである。米中印の微粉炭を向上させれば日本のCO2排出量程度は稼げるのだから。